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税制改正のポイント

  • 税制改正で何がどう変わるのか?
  • 税制改正で相続税は増えるのか?
  • 税制改正で相続税は減らせるか?

税制改正の背景と狙い

税制改正の背景と狙い

平成27年1月からの税制改正の狙いは、社会保障の財源の確保と財政の健全化を目的とした背景があります。
相続税の基礎控除がなぜ見直されたかといえば、もともと不動産バブルがはじけたときのベースでつくられた基礎控除だったからです。

バブルがはじけた折は、基礎控除を高くしなければならなかった必然性がありました。
しかし、現在は社会の状況が変わっています。

そうしたことから、基礎控除の減額、最高税率の引き上げなどが税制改正のポイントになっています。
また、少子高齢化社会で若い世代の所得と消費の活性化と、次世代への財産移転を促すため、教育資金対策の一括贈与など減税措置が行われます。

現在の税制との比較

現在の税制との比較

税制改正のポイントは基礎控除の引き下げです。
相続税がかからない金額の下限のところですが、従来は相続人ひとりに対して5,000万円だったのが、4割の減額になります。

これまで相続する財産が8,000万円まで相続税がかからなかったが、今回の税制改正によって4,800万円になると、相続税がかかってくることになります。
また、基礎控除の減額とともに改正のポイントになるのが、最高税額の引き上げです。

つまり、多くの相続財産を持っていれば、従来の最高税率よりも高くなり、相続税の負担が増えることになります。

不動産にかかる相続税

不動産にかかる相続税

相続税を申告することで、土地の評価額を一定金額だけ減額する特例があります。
小規模宅地等の特例措置です。
自宅を持っていれば小規模宅地の特例が受けら、申告を行えば相続税はかかりません。
逆に申告を行わなければ相続税がかかってしまいます。
これは、後に申告しても適用されないので最初に自己申告しなければなりません。

つまり、これまで申告をしていない、あるいは申告をする必要がなかった人が、申告をすることによって優遇を受けられるといったケースが多くなるのが、今回の税制改正の特徴です。

相続時精算課税について

相続時精算課税について

贈与税の課税方法には、歴年課税相続税精算課税があります。
歴年課税の非課税枠は110万円ですが、精算課税は贈与税の非課税枠が広がるというメリットがあります。
この課税の適用を受けるためには、贈与税の申告と相続時精算課税選択届出書の提出が必要になり、贈与したときの金額で固定されます。

相続したときに贈与分は加算されますが、先に贈与税を払うので節税方式ではなく、金額が上がっていくため、不動産の収益物件に関しては、相続税精算課税は有効といわれています。
金額に変動がなければ、歴年課税でも精算課税でも相続税の税額は同じであり、収益物件、地価など、値上がり分に関しては節税になります。

教育資金の一括贈与について

教育資金の一括贈与について

次世代への財産の移転を目的として、減税される教育資金の一括贈与をうまく活用することで相続対策になります。
どうすれば、子どもに贈与できるか?
110万円の範囲内では間に合わないといった相談が多く、教育資金の一括贈与による財産の移転で孫に資金を贈与することができます。
相続税と贈与税の税率構造の差を活用することで相続税対策になります。
教育資金の一括贈与は、信託銀行に教育資金口座をつくることが条件で、教育資金としての使途を明らかにする必要があります。
このとき、資金が残った場合、贈与税がかかるので注意が必要です。

また、最初から対策をしておけば相続税がかかりませんが、放置しておくと相続税がかかります。
贈与のプランは早めに行うことが大切です。

直系尊属からの贈与税の優遇

直系尊属からの贈与税の優遇

孫への教育資金の一括贈与の対象は、親からの直系尊属に対する贈与になっています。
特例で税率を低くするラインをつくり、子どもではなく、孫に対しての財産移転の喚起がその目的です。

相続税は上がって高くなるものの、贈与税は優遇するという今回の税制改正の背景には、相続税を強化することによって高齢者に生きているうちにお金を使ってもらうということ、そして子どもや孫の世代に贈与させることで、将来の若い世代に対して財産の移転を促進し、経済を活性化させる狙いがあります。